22年冬季五輪、中国開催の撤回を 160超の人権団体がIOCに訴え
香港(CNN) 160を超える世界中の人権団体が連名で国際オリンピック委員会(IOC)に書簡を送り、2022年冬季五輪の北京開催を撤回するよう訴えていたことが11日までに分かった。中国政府による大規模な人権侵害が疑われる現状を撤回の理由に挙げている。
IOCのバッハ会長あての書簡では、新疆ウイグル自治区やチベット、香港、内モンゴルにおける中国政府の活動に言及。冬季五輪の開催国としてふさわしくない状況が確認されているとの認識を示した。
08年夏季五輪の開催地には北京が選ばれたが、書簡によればその後も中国での人権状況は改善せず、開催の実績がかえって政府の活動を勢いづかせる結果になっているという。
書簡はIOCに対し、五輪憲章の中心的な原則である「人間の尊厳」を守る意思を示すよう要求。北京での冬季五輪開催により、組織としての道徳上の権威を再び失墜させてはならないと呼びかけた。
中国外務省の趙立堅報道官は、北京での記者会見で書簡について、スポーツを「政治化」する試みだと批判。中国はこうした動きに「断固反対する」と述べた。
IOCはロイター通信への声明で、組織として政治問題に関しては中立を保っていると説明した。そのうえで、開催地に選定したからといってIOCが当該の国の政治機構や社会状況、人権の基準に同意しているわけではないと強調した。
IOCは17年、五輪開催都市との間で結ぶ契約に人権や反汚職、持続的発展に関する条項を24年の夏季大会から盛り込む方針を発表している。