米、中国人1000人超のビザを取り消し 安全保障上のリスク理由に
(CNN) 米国務省は9日、6月以降に中国人1000人以上のビザ(査証)を取り消したことを明らかにした。対象となったのは、中国人民解放軍とつながっているとみられる大学院生や研究者だという。
国務省は声明で、「高リスクの大学院生と研究者」を追放したと説明。調査の結果、大統領令第10043号の適用対象となるため、ビザ申請の資格がないことが判明したとしている。
この大統領令はトランプ氏が5月末に発布し、6月1日から発動したもので、「(中国は)人民解放軍の近代化と能力向上を図る目的などから、米国の重要技術や知的財産を取得するため、リソースを重点投入して広範な活動を展開している」とする内容。
国務省は今回のビザ取り消しについて、米国の国家安全保障を守るためだと説明。「軍事力向上を目的に、米国内にいる中国人留学生や研究者を使って技術や知的財産、情報を窃取させる中国の能力に制限をかける」としている。
国務省によると、今回の追放の対象者は「米国に来る中国人留学生や研究者全体でみれば一部に過ぎない」といい、「軍事的支配という中国共産党の目標を押し進めない正規の学生や研究者については、引き続き歓迎する」とも述べた。
米国で学ぶ中国人留学生は推計36万9000人あまりに上る。ただ、その多くは新型コロナウイルスの感染拡大により学業に支障が出ている。
中国政府はまだ今回の発表に反応していないが、中国教育省は6月、中国人留学生を制限する米政府のあらゆる動きに「断固反対」すると表明。「通常の学術交流を意図的に政治利用したり悪者扱いしたりする全ての措置を強く非難する」と述べていた。