ANALYSIS

戦争の実情知らぬロシア国民、ジョージ・オーウェル風のメディア報道に囲まれ

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警察が抗議する人を取り押さえる様子。国営テレビでは抗議デモは放映されない=13日、モスクワ中心部/AFP/Getty Images

警察が抗議する人を取り押さえる様子。国営テレビでは抗議デモは放映されない=13日、モスクワ中心部/AFP/Getty Images

情報の鎖国

長年プーチン政権は、ロシアの自由な報道を入念に排除してきた。戦争が始まり、新たに「戦争表現禁止」法が可決されると、残る2つの独立系メディア「TVレイン」と「エコー・モスクワ・ラジオ」も閉鎖した。どの放送局も直接、あるいは親政府派のオーナーを通じて政府の管理下に置かれている。一部の若者を除く大半のロシア人は、テレビからニュースや情報を入手している。

フェイスブックやツィッター、インスタグラム、その他海外のソーシャルメディアプラットフォームなど、インターネット上の情報源はブロックされている。BBCやラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティなど、ロシア語で放送している国際報道機関も同様だ。

情報の鎖国は、大統領が起こした戦争が正当だとロシア人を納得させるのにある程度成功しているようだ。「ナチスがウクライナを支配している」「ドンバス地方のロシア系住民は『大量虐殺』の被害者だ」「ロシアこそがNATOの攻撃で死の危機に瀕(ひん)している」といったうそをまき散らすプロパガンダを浴びせられていては、大勢のロシア人が戦争を支持するのも無理はない。

事実、独立調査機関レバダセンターが3月に行った世論調査によると、戦争以降プーチン大統領の支持率は上昇し、大統領を支持するという回答は1月の69%から83%に増加した。だが国民が大量のプロパガンダにさらされ、反対意見が認められない国の世論調査が必ずしも信頼できないのは明らかだ。

ウクライナはこの先何年も、この無用な戦争による破壊の傷を引きずっていくことになるだろう。だがロシアもまた、自分たちの政府が仕掛けた悪意ある情報戦の後遺症に悩まされることになるだろう。

本稿はCNNのジル・ドーティー記者の分析記事です。

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