水面を走るだけじゃない、滑空する電動パワーボート「レースバード」
最初のテスト
バッソ氏とアガグ氏は、このレースバードを開発するために、わずか8カ月間でさまざまな経歴を持つ協力者のチームを結成した。その中にはバッテリー開発会社クライゼル・エレクトリックやボートの専門会社ビクトリー・マリーンも含まれている。
関係者らの話では、レースバードの初めてのテストは期待通りの好結果で、速度は最終的な目標の8割に当たる40ノットに達したという。さらに重要なのは、船体が意図した通り水面上でうまく浮かび上がったことだ。
海洋産業へのプラス効果
アガグ氏によると、E1シリーズを始めた主な動機のひとつは、海洋産業が持続可能な輸送の分野で他の産業に追いつくのを支援することだという。
国際海事機関(IMO)によると、海運業の温室効果ガス排出量は、世界の総排出量の約2.5%を占めているという。一部の海運会社は化石燃料の代わりにバイオ燃料、水素、液化天然ガスの導入を目指しているが、新エネルギーへの移行はあまり進んでいないのが現状だ。
アガグ氏は「海洋産業は、自動車産業に約10年遅れていると思う」と述べた上で、「無論、この2つの産業が抱えている課題は異なる(中略)バッテリーは特に都市部を走る自動車には適しているが、大型船はバッテリーでは動かせない」と付け加えた。
「しかし小型ボートには、バッテリーは非常に優れた解決策だと考えている。だからこそ、我々はレースバードの開発を推進し、海洋産業に1つの解決策を示そうとしている」(アガグ氏)