イスラエルの刑務所に20年間収監のパレスチナ人作家、アラブ小説国際賞受賞
(CNN) イスラエルの刑務所に20年間収監されているパレスチナ人作家バシム・カンダクジさんが28日、小説 「A Mask, the Color of the Sky(原題)」でアラブ小説国際賞(IPAF)を受賞した。5万ドル(約790万円)と英訳のための資金を授与された。
本書のタイトルにある「仮面(Mask)」は、主人公ヌールが古いコートのポケットから見つけたイスラエル人の青い身分証を例えている。
アラブ小説国際賞(IPAF)選定委員会は中東アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで開かれた授賞式で受賞作を発表。同作について、ヨルダン川西岸地区ラマラの難民キャンプに住み、この「仮面」を身に着けた考古学者ヌールと「その後に続くのは、歴史と場所の要素を鮮明で印象的な人物描写で再生しようとする実験的で多層的な物語だ」と評価した。
2024年の委員長を務めるシリア人作家のナビル・スレイマンさんはレバノンで出版された同作について、「家族の別離、強制退去、ジェノサイド(集団殺害)、人種差別といった複雑で苦しい現実を解き明かしている」と述べた。
受賞作の「A Mask, the Color of the Sky(原題)」/International Prize for Arabic Fiction
UAEの国営メディアによると、1983年にパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のナブルスで生まれたカンダクジさんは、2004年にイスラエル・テルアビブの市場で3人が死亡し、数十人が負傷した自爆テロに関与しているとして3回の終身刑に服している。
授賞式に出席した兄弟のユセフ・カンダクジさんは、バシムさんがこの勝利をすべてのパレスチナ人に捧げることを親愛なる兄弟に代わり伝えたいと述べた。