VR技術を手術に活用、珍しい症例の赤ちゃん救う
そんなある日、親戚が「現在活躍する最も革新的な小児外科医20人」という記事を見付けた。その記事の中で第3位にランクされていたのが、マイアミのニクラウス小児病院で心臓血管手術の責任者を務めるレドモンド・バーク医師だった。
親戚が病院に問い合わせると、すぐに返答があった。病院の看護婦は、至急ティーガンちゃんの心臓の画像を送ってほしい、その上で何ができるか検討する、と伝えたという。
11月のある日の朝、ニクラウス小児病院の医師らはティーガンちゃんの心臓の画像を目にした。
ミネソタ州の医師と同様、同小児病院の医師らも片方の肺と心臓のほぼ半分が欠如した子どもを見るのは初めてだった。医師らは手術でティーガンちゃんを救うことを断念。明確な救済プランのある医師はおらず、中には、もはや手の施しようがないのでは、と考える医師もいた。
バーク医師は、イメージング(画像化)に関して専門の小児心臓専門医ファン・カルロス・ムニス氏にティーガンちゃんの心臓の立体模型の作成を依頼した。
しかし、その数時間後、ムニス医師から悪い知らせが届く。なんと、病院の3Dプリンターが故障したのだ。ムニス医師は、別の手段を探すしかなかった。
ムニス医師はその以前から、ピッツバーグ大学医療センターの小児心臓専門医デビッド・エゾン氏と、主にビデオゲームに使用されるVRを子どもの心臓の画像化に応用できないか話し合っていた。