世界でまたサイバー攻撃、ウクライナに大きな被害
ロンドン(CNNMoney) 世界各地の企業や機関で27日、コンピューターのファイルを人質に取って被害者を脅迫するランサムウェア(身代金要求型ウイルス)による攻撃が報告された。特にウクライナに被害が集中している。
英広告大手WPP、ロシアの国営石油会社ロスネフチ、デンマークの海運大手A・P・モラー・マースク、米製薬大手メルクなども標的になり、世界各地に展開する事業所でシステムが停止するなどの被害が出た。
ロシアのサイバーセキュリティー企業「グループIB」によると、ロシアとウクライナで27日までに計80社前後が被害に遭ったと推定される。
ウクライナ当局によると、チェルノブイリ原発も攻撃を受け、放射線監視システムを手動に切り替えて対応しているという。
同国の中央銀行や郵政当局、首都キエフの地下鉄システム、内閣からも攻撃の報告があった。
5月に世界で猛威を振るったランサムウェア「ワナクライ」と同様、ファイルの復旧と引き換えに身代金を仮想通貨「ビットコイン」で支払うよう要求してくる。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の欠陥を悪用してウイルスを拡散する手口も同じだ。ワナクライよりはるかに高度なランサムウェアだと指摘する声もある。
米セキュリティーソフト大手、シマンテックなどは、昨年確認された悪質なランサムウェア「Petya」の亜種との見方を示した。一方、ロシアのセキュリティーソフト会社、カスペルスキーは新種のランサムウェアによる攻撃だとして、これを「ExPetr」と名付けた。
まずウクライナの会計ソフトが感染し、顧客に感染ファイルを送り付けたのが発端とされる。
米国土安全保障省(DHS)は事態を注視しているとして、支援要請に応じる用意があると表明した。欧州警察機関(ユーロポール)も捜査に乗り出している。