サンフランシスコ(CNN Business) 今、ハイテク業界で最も困難な仕事に取り組んでいるのはナサニエル・グライシャー氏かもしれない。
米司法省の元検事であるグライシャー氏は、2016年のアメリカ大統領選で混乱を巻き起こし、さらに11月の中間選挙でも同様の混乱をもたらす恐れのある海外のトロール(荒らし)や国家主導で行われる虚偽情報の拡散活動をフェイスブックから排除するという極めて困難な任務を負っている。
グライシャー氏は、これは全社的な取り組みであり、決して容易な仕事ではないと強調する。全世界に20億人以上いるユーザーの中から厄介者を捜しだす作業は、干し草の山から1本の針を探し出すようなものだ。
今年1月に現職に就いたグライシャー氏は、この困難な仕事をやり遂げる覚悟だ。
同氏は「国民的な議論や開かれた選挙は民主主義の基礎だ」と述べ、さらに「これは何よりも重要であり、これこそがわれわれ、そして私自身の最優先事項だ」と付け加えた。
フェイスブックがグライシャー氏とそのチームに委ねた任務の重要性はどんなに強調してもしすぎることはないだろう。同社は、ドナルド・トランプ氏が2016年の大統領選で勝利して以来2年間、ある種の実存的危機に直面している。米国の情報コミュニティーは、ロシアがフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディア・プラットホームを悪用して巧妙な活動を展開し、米国内で不協和音を生じさせ、2016年の大統領選に影響を与えようとしたと断定した。
グライシャー氏は、司法省で数年間、サイバー犯罪の訴追に取り組んだ後、オバマ政権の国家安全保障会議(NSC)のメンバーを務めた。かつてコンピューター科学者や法律家だった同氏の経歴は、ハイテク業界と政界を渡り歩き、この2つ業界の「橋渡し」に役立っている。