EUの外交公電が多数流出、中国関与か 米紙報道
(CNN) 米紙ニューヨーク・タイムズは20日までに、欧州連合(EU)の通信システムが数年間、不正アクセスの攻撃を受け、扱いに注意を要する外交公電の数千本が漏出したと報じた。
流出を突き止めた米サイバーセキュリティー企業「エリア1」の情報としている。不正侵入の手口は中国人民解放軍のエリート部隊が長く用いてきたものと似ているとした。
同社はハッキングを受けた1100本以上の外交公電を提供したとし、同紙は一部をインターネット上で公開した。エリア1の代表者はCNNの取材に、より多くの情報を近く公表するとした。同社は米カリフォルニア州に本拠があり、共同創業者は米情報機関「国家安全保障局(NSA)」の元職員3人となっている。
タイムズ紙の取材に応じたEU事務局は、機微に触れる情報が漏洩(ろうえい)した可能性は承知しているとし、調査を強化しているとした。
不正侵入が確認されれば、大胆な諜報(ちょうほう)収集活動とも受け止められる。中国外務省はCNNに寄せた声明で、タイムズ紙の報道は「疑わしく、根拠なく極めて無責任」と非難した。「中国もサイバー上のスパイ活動や攻撃の被害者であり、またサイバーセキュリティーの擁護者である」ともした。
タイムズ紙がインターネット上で明らかにした、流出したとみられる外交公電の多くは通常の種類のものとなっている。ただ、一部はEU幹部と世界の指導者の間の個人的な会見の要約が含まれる機密性の高い内容となっている。
今年7月の公電では、習近平(シーチンピン)・中国国家主席との話し合いに触れ、米国は「あたかもルールがない何でもありのボクシング試合」に臨んでいるような振る舞いを見せているとの記述があった。この表現をした人物は不明となっている。
米中は現在、厳しい通商摩擦に直面しているが、今月初旬の首脳会談で「一時休戦」とも言うべき妥協にたどりついていた。ただ、貿易摩擦が終わったわけではなく、両国間の今後の交渉次第で新たな高関税が課される事態も有り得る。