ロシア軍、ウクライナ疑惑渦中のガス会社をハッキング
(CNN) ロシア軍に所属する複数のハッカーが、ウクライナの天然ガス会社ブリスマのハッキングに成功していたことが14日までに分かった。サイバーセキュリティーの調査会社が明らかにした。
ブリスマはトランプ米大統領、バイデン前米副大統領とその息子を巻き込んだ一連のウクライナ疑惑の渦中にある企業。オンラインセキュリティー会社のエリア1によると、今回のハッキングでブリスマの従業員らのコンピューターに関する認証情報が流出した。
情報はロシアの軍参謀本部情報総局(GRU)が設置した偽のウェブサイトを通じて入手された。この偽サイトは見た目、操作性ともにブリスマ従業員が日常的にアクセスしていたものと似ているように設計されていたという。
ハッキングは米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じた。開始時期は昨年11月で、バイデン父子の問題やウクライナ疑惑、トランプ氏の弾劾(だんがい)に関するニュースが米国内のメディアを席巻していたころだった。下院では疑惑をめぐる弾劾調査の公聴会も開かれていた。
CNNはワシントンにあるロシア大使館にコメントを求めたが、返答は得られていない。
ハッカーらがどのような情報を手に入れようとしていたのか、またブリスマのセキュリティーがどの程度まで侵害されたのかは不明。だがサイバーセキュリティーの専門家はCNNに対し、ロシアの関係者が過去にもブリスマにハッキングを仕掛けていた公算が大きいと指摘した。ロシアのハッカーらはウクライナ国内に向けて極めて積極的な活動を展開しているという。
ブリスマをめぐっては、バイデン氏と息子のハンター氏の関与があったとする汚職疑惑が持ち上がり、それに対する捜査を求めるトランプ氏がウクライナ当局に圧力をかけた疑いも浮上して政治問題に発展した。このタイミングでのロシアによる同社システムへの侵入は、2016年の米大統領選を揺るがした同国による介入の取り組みと酷似する。
エリア1は報告書でトランプ氏が再選を目指す今年の大統領選に言及し、上記のハッキングについて、前回の選挙以降予想された事態が現実のものになりつつあることを示す兆候との認識を示した。