ウクライナ支援凍結は「トランプ氏の指示」、米予算局が国防総省に説明
ワシントン(CNN) 米国が昨年夏にウクライナへの軍事支援を凍結した措置について、国防総省から違法の可能性があるとの指摘が出たのに対し、行政管理予算局(OMB)が、凍結継続はトランプ大統領の直接の指示だと説明していたことが分かった。
国家安全保障問題の報道や分析を手掛けるウェブサイト「ジャストセキュリティー」が、国防総省とOMBの当局者の黒塗り前のメールを精査した。
一連の文書は裁判所の命令に基づき先月公開されたが、一部または全部が黒塗りされた状態だった。国防総省とOMBは支援凍結の実施を担った機関で、今回の文書からは両機関の緊張関係について新たな詳細が明らかになった。
また、議会の監視や裁判所の情報開示命令があったにもかかわらず、なぜトランプ政権が今回判明した内容を黒塗りにしたのかついても、深刻な疑念が生じている。
ジャストセキュリティーが精査した文書には、OMBの国家安全保障プログラムの副責任者、マイケル・ダフィー氏から国防総省で会計監査を担当するエレーヌ・マッカスカー氏に送った8月30日付のメールも含まれる。当時、国防総省内では法律面の懸念が高まっていたが、ダフィー氏はトランプ氏の指示で支援凍結を継続すると説明。「凍結を続けるよう大統領から明確な指示があった」としている。
8月30日にはエスパー国防長官とポンペオ国務長官がトランプ氏と会談し、支援凍結について協議していた。
他のメールによると、マッカスカー氏が支援凍結の適法性について最初に懸念を伝えたのは7月25日だった。これはトランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談でバイデン前副大統領らに対する調査を要請した日に当たる。
その後のやりとりでは、ダフィー氏が、会期末までに支援金額を支出できなかった場合責任はOMBではなく国防総省にあると主張。それに対しマッカスカー氏は「冗談だろう。開いた口が塞がらない」と返信。OMBと国防総省の間で責任の所在をめぐり対立が生じた。
この点、OMBの報道官はCNNに対し、「大統領の優先事項に沿った形で、全ての段階で国防総省とOMBの法律専門家が合意していた」と説明し、対立があるとの見方を否定した。