米福音派の有力誌、トランプ大統領の罷免呼びかけ
(CNN) トランプ米大統領の支持基盤となっているキリスト教福音派の指導者、故ビリー・グラハム氏が創刊した雑誌「クリスチャニティー・トゥデー」は19日、トランプ氏の罷免(ひめん)を求める論評を掲載した。
同誌のマーク・ガリ編集長は論評で「トランプ氏を上院で罷免すべきか、次の選挙で落選させるべきかは、慎重な判断を要する問題だ」と指摘。「トランプ氏の罷免は党派ではなく十戒の創造主への忠誠心が試される問題となっている」と述べた。
ガリ氏はさらに「弾劾(だんがい)公聴会を通じ、マラー特別検察官の捜査とは違った形で、トランプ大統領が個人的な利益のために権限を乱用したこと、憲法上の誓いを裏切ったことが明確になったと思う」と言及。弾劾公聴会によって大統領の道徳的な欠陥が浮き彫りになったとの見方を示した。
クリスチャニティー・トゥデーは以前にも移民問題などでトランプ氏を批判したことがあったが、罷免を訴えたのは初めて。トランプ氏が下院の弾劾決議を受けて上院での裁判に備えるなか、共和党の支持基盤の一角が造反に回る可能性を示した形だ。
トランプ大統領。上院での弾劾裁判は来月にも開始する予定/Drew Angerer/Getty Images North America/Getty Images
一方、トランプ氏は20日午前、同誌を「極左の雑誌」と形容。大統領選に向け指名候補争いを展開する民主党に触れ、「私ほど福音派のために尽力した大統領はいない。ずば抜けた貢献度だ。民主党の候補からは何一つ得られないだろう」と述べた。
これに対し、ガリ氏は20日のCNNのインタビューで、「我々自身も、大半の人々も我々は福音派の中で極めて中道の雑誌だと思っている」と述べ、極左との形容は「全く正確ではない」としている。
福音派の有力指導者の一人、ジム・ウィリアム氏も、論評を「大きな分水嶺となる出来事」だと位置付け、トランプ氏の排除は「政治の問題ではなく信仰の問題だ」と指摘。
福音派が「我々が望む裁判官を指名してくれたからといってトランプ氏が何をやっても見ないふりをするのはファウストの契約に当たる」とも言及した。今回の論評は、地方の白人女性や若い福音派の人々に影響を及ぼすだろうと予測している。
グラハム氏の息子、フランクリン・グラハム氏はトランプ氏の有力な支持者のひとり。フランクリン氏はツイッターで、論評には「同意しない」と投稿。「父はトランプ氏が父を信頼していることを知っていて、彼に投票した。父はトランプ氏が今、この国に必要な男と信じていた」とも述べた。