AIの最新の波、3億人の雇用に影響も ゴールドマン・サックス
香港(CNN) 直近で押し寄せる人工知能(AI)の波を受け、最大3億人に上る世界中のフルタイムの雇用が何らかの形で自動化される可能性がある。米金融大手ゴールドマン・サックスのエコノミストらがそうした見解を明らかにした。
エコノミストらは26日付けの報告書で、世界の仕事の18%をコンピューターが行うことになるかもしれないと予測。影響は新興国より先進国で深く表れると分析した。
部分的な理由は、ホワイトカラー労働者の方が肉体労働者よりも大きなリスクを抱えているとみられる点にある。事務職と弁護士が最も影響を受けるだろうとエコノミストらは指摘。一方で肉体的に負担の大きい仕事や屋外での業務には「ほとんど影響がない」という。建設作業や改修工事などがこれに該当する。
米国と欧州では、現在の雇用のおよそ3分の2が「ある程度AIによる自動化の影響を被る」ほか、あらゆる職業の最大4分の1はAIが完全に行うようになると、ゴールドマン・サックスは試算する。
エコノミストらは、生成AI(画像、文章、音声、プログラムコード、構造化データなどさまざまなコンテンツを生成することのできる人工知能)が「約束された能力を発揮するなら、労働市場は相当な混乱に直面する恐れがある」としている。現在世界を席巻しているAIチャットボット「チャットGPT」は、この生成AIの技術を活用する。
チャットGPTを開発したオープンAIは今月、言語モデルシステムの最新版「GPT―4」を発表。ウェブサイトの迅速な作成や、試験で高得点を記録する能力などを早速ユーザーに印象づけている。
ゴールドマン・サックスのエコノミストらはこうした技術革新について、当初は働き手の居場所を失わせるものの、これまでの歴史上、長い目で見れば雇用の拡大を生み出してきたと強調する。
職場が移行するとしても、広範なAIへの乗り換えにより最終的に労働生産性は拡大し、世界の国内総生産(GDP)を向こう10年間で年7%ずつ押し上げる可能性があると、ゴールドマン・サックスは予測する。
影響を受けるとみられる米国の労働者について言えば、仕事量の25~50%は自動化に置き換えることが可能になると、エコノミストらは付け加えた。