主要病院で医療サービス中止、請負業者へのランサムウェア攻撃 英ロンドン
(CNN) 英国で医療を無料提供する国民保健サービス(NHS)の請負業者に対するランサムウェア(身代金ウイルス)攻撃により、ロンドンにある複数の主要な病院は手術、血液検査、予約を中止し、患者は別の病院での受診を余儀なくされた。
NHSの広報担当者は4日、キングス・カレッジ病院、ガイズ&聖トーマス病院のほか、ロンドン市内の多くのプライマリーケア事業者が影響を受けていると述べた。
影響を受けた病院と提供者はすべて、NHSに検査サービスを提供するシノビス社と提携している。同社は4日、ランサムウェア攻撃によりすべてのITシステムが影響を受け、「多くの病理サービスが中断された」と述べた。
特に血液検査や輸血に関連するサービスが中断された。
NHSは、この攻撃によりロンドンの病院での「サービス提供に大きな影響」が出ているが、救急医療は引き続き利用可能だと述べた。現在、政府当局の支援のもと、攻撃による影響の全容把握に向け緊急で取り組んでいるという。
ランサムウェア攻撃は一般的に、ハッカーが悪意のあるソフトウェア、つまりマルウェアを用いて身代金が支払われるまでサーバーへのアクセスを阻止するものだ。専門家によると、英国の医療システムへの攻撃は比較的まれだという。
英政府当局の元責任者は、英国の医療サービスはランサムウェア攻撃による混乱が米国に比べて少ないと話し、その理由の一つとして、英国の医療の多くが国営であり、政府が身代金を支払うことはない点を挙げた。
一方で、同氏は、今回の攻撃はNHSの民間事業者に対して仕掛けられていることから、医療サイバー犯罪による混乱が英国でも起きうることを示していると警告している。