世界の舞台で健闘、タスマニア産ウイスキー
かつてシングル・モルト・ウイスキーと言えば55歳を過ぎた男性の領域だったが、最近は1本150ドルのプレミアムウイスキーを購入する若者や女性も増えてきた。
「8年前にウイスキーショーに初めて参加した時、女性の参加者は私1人だったが、今は男性と女性の割合は半々という感じ」とオーフレイム氏は語る。
世界で最も南に位置する蒸留所
タスマン国立公園のはずれ、マウントアーサーにウイリアム・マクヘンリー氏が経営する世界で最も南に位置する蒸留所、ウイリアム・マクヘンリー・アンド・サンズ蒸留所がある。南緯43度に位置するこの蒸留所と南極の間にあるのは広大な南洋だけだ。
北部の港湾都市バーニーにあるヘリヤーズ・ロード蒸留所、中部ボスウエルのナント蒸留所、ホバートのウォーターフロントにあるラーク蒸留所など、タスマニアの一部の蒸留所にはしっかりとした案内所やテイスティングが行えるバーがあるが、その他の蒸留所を訪問する際は事前にアポを取った方がいいだろう。
ケンプトンの近くにあるベルグローブ蒸留所は、本業は牧羊業者と砂の彫刻家だが、たまにウイスキーを造るというピーター・ビッグネル氏が1人で経営している蒸留所で、オーストラリア唯一のライ・ウイスキーを月に100リットルのペースで生産している。
ビッグネル氏は、ライ麦の栽培から、麦芽処理、発酵、蒸留、瓶詰めに至るまで、すべてこの蒸留所で行っているため、輸送費がかからず、麦芽を乾燥させるための熱の浪費もなく、水の使用も最小限で済む。