世界の11の暗殺現場
9.米ニューヨーク・オーデュボン舞踊場(マルコムX暗殺、1965年2月21日)
オーデュボン舞踊場は、アッパー・マンハッタンにある施設で、劇場、舞踊場、音楽堂として使用された。マルコムXが創立したアフリカ系アメリカ人統一機構(OAAU)は1964年から65年まで、毎週、同地で会合を開いていた。
マルコムXはその会合の最中に、黒人の民族的優越を説くイスラム運動組織ネーション・オブ・イスラム(NOI)のメンバーに射殺された。マルコムは10年以上もの間、NOIの最も著名なメンバーの1人だったが、暗殺される前年にNOIを脱退していた。
暗殺現場となったオーデュボン舞踊場は、1992年にバイオテクノロジーの研究センターに改装されたが、建物の正面は当時のまま保存されている。また2階はマルコムX・ベティ・シャバズ記念教育センターという教育施設になっており、壁にはマルコムXの生涯を描いた壁画が飾られている。
10.イングランド・カンタベリー大聖堂(トマス・ベケット暗殺、1170年12月29日)
イングランド王ヘンリー2世の治世時代のカンタベリー大司教トマス・ベケットは、イングランドで最も力のある司教のうち3人を破門し、ヘンリー2世を激怒させた。
ヘンリー2世は、かつて親友だったベケットを排除したいとつぶやいたという。王の意をくんだ4人の騎士がベケット殺害のため、カンタベリー大聖堂に向かった。ベケットは騎士たちが向かっていることを知らされたが、「誰であれ、教会への立ち入りを禁ずるべきではない」と述べ、大聖堂の扉を閉ざすことを拒んだ。
ベケットが殺害されたされる北西翼廊内の区画は「マータダム」(殉教の意味)と呼ばれ、ベケット殺害時に剣先が折れた逸話に絡んで「剣先の祭壇」が設置されている。