ハンガリーの国民的スパイス「パプリカ」入門
5.外貨獲得の手段
第2次世界大戦後、ハンガリーのパプリカ生産は当時の共産党政権によって国営化された。パプリカの生産者らは、パプリカの実を自ら香辛料に加工することは許されず、栽培した実を国営工場に引き渡さなければならなかった。
「私の幼少期に世話をしてくれた老婦人は、パプリカ2キロを販売した罪で捕まり、4カ月間投獄された」とモルナー氏は語る。
「パプリカは(共産党政権にとって)外貨獲得のための重要な手段だった。毎年ドイツマルクやドルを獲得するため、数千トンのパプリカが輸出されていた」(同氏)
6.ビタミンCが豊富
ハンガリーの科学者アルベルト・セント=ジェルジは、ビタミンCの発見などにより、1937年にノーベル生理学医学賞を受賞した。またパプリカがビタミンCを豊富に含んでいることを発見し、人々が壊血病で苦しむ国や地域にパプリカから抽出したビタミンCの結晶を送った。