パリが観光バス規制へ、欧州で広がるオーバーツーリズム懸念
(CNN) フランス・パリのグレゴワール副市長は4日までに、市内の観光バス規制に乗り出す方針を明らかにした。観光バスはパリを「大混乱」に陥れているとの認識を示し、「市中心部ではもはやバスを歓迎しない」と明言している。
観光バス規制は、過剰な観光客が押し寄せるオーバーツーリズムに対する対策の一環として打ち出した。
イタリアのベネチアやスペインのバルセロナほど深刻な影響は出ていないものの、パリ市民は増えすぎた観光客が引き起こす問題に対して懸念を強めているとグレゴワール副市長は指摘する。
市は団体観光に対して開かれた姿勢を示し、無料で利用できる公衆トイレを設置するなど対応に力を入れてきたと副市長は強調。一方で、観光客はバスを使わなくても「公共交通機関の利用や環境に優しい移動手段」を利用できると指摘した。ただ、高齢者にとって団体ツアーは利便性が高いことも認めている。
観光バス規制はツアーガイドにとって厳しい措置かもしれないが、ガイドもそれに慣れ、サイクリングやウォーキングツアーを利用する必要があると副市長は述べ、「誰もが働き方を市のニーズに合わせなければならない」と訴えた。
グレゴワール副市長はさらに、住宅費の高騰にも懸念を示し、その一因は民泊サービスのエアビーアンドビーにあると主張している。パリの治安については、犯罪発生率は世界の他の大都市に比べれば低いとの認識を示した。
ベネチアでは、大型クルーズ船がツアーボートに衝突する事故が6月に起き、増えすぎた観光客に対して市民が不満を強めている。
アムステルダムはオーバーツーリズム対策のため、観光地としての宣伝を中止する方針を観光局が決めた。