世界の頂点に立つ小さな空港 米アンカレジ

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1965年ごろのアンカレジ国際空港の様子/Harvey Meston/Archive Photos/Getty Images

1965年ごろのアンカレジ国際空港の様子/Harvey Meston/Archive Photos/Getty Images

航続距離の改善

航空会社はロシア領空の飛行を回避するため、不経済な迂回(うかい)ルートを余儀なくされている。これによって飛行時間が長引き、人員、燃料、メンテナンスの面でコストを増大させている。

だが、アンカレジ空港の旅客数が冷戦時代の水準に戻ることはなさそうだ。フライト追跡サービスを提供する「フライトレーダー24」のコミュニケーションディレクター、イアン・ペチェニック氏は、1990年代初めにソ連が崩壊して以来、民間航空機の航続距離は劇的に改善されたと説明する。

ペチェニック氏はCNNに対し、「現在、飛行機が出発地から目的地まで止まることなく移動できるのは見事だ」と語っている。

今のところ、フライトレーダー24が指摘した中で最も極端な迂回ルートは、羽田発ロンドン行きの日本航空43便だ。

ペチェニック氏によると、同便の飛行時間はこれまでの12時間12分から15時間15分になった。「ロシア上空を西に向かって飛行する代わりに、東に向かい、アラスカ、カナダ北部、グリーンランド、アイスランド上空を飛行する北回りで英国に向かう」と説明した。

ペチェニック氏はまた、日本とドイツを結ぶ路線でも大きく迂回を迫られていると指摘。「これらの路線は、飛行ルートの方角を変更せず、ルートを南に移動した」 として、「飛行時間は数時間長くなるが、地図上ではそれほど極端な変更ではない」と話している。

発着枠と運航スケジュール

現在の状況がいつまで続くかは誰にも分からないが、向こう数週間から数カ月の間、航空会社は新ルートと運航スケジュールの模索に向けて懸命に取り組むことになるだろう。

これは単に経済的な問題だけではない。航空会社が綿密に計画した飛行経路と運航スケジュールが混乱に陥っていることから、空港における発着枠の争奪戦でもあるのだ。

もはやストップオーバーが技術的に必要でなくなったとはいえ、アンカレジの戦略的立地は依然として魅力的な要素である。

地政学的な状況が劇的に変化する以前、新規参入の長距離航空会社ノーザン・パシフィック航空はすでに、アンカレジを拠点に米国とアジアを結ぶ国際線の就航を計画していたが、政府の承認はまだ得られていない。

「混雑しているのは空港ではなく空域だ」とペチェニック氏は指摘している。「通常ロシア上空を通過する飛行機の多くが南下しているため、トルコやルーマニア、東欧上空の航空交通量が増えている」と説明した。

ペチェニック氏は航路が近い将来、以下のようになると予測する。「航空機の飛行場所の圧縮が進むだろう。例えば、フィンエアーのビジネスモデルは、東アジアに到達するための近道としてロシア上空を経由することが前提だったが、それが不可能な場合、飛行機はどちらの方角に向かうだろうか」

これからは、ノルウェーを経由してカナダやアラスカを通る極地ルートが「最も興味深いものになるかもしれない」とペチェニック氏は話している。

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