NY市の「9・11トリビュート・ミュージアム」が恒久的に閉鎖 コロナ禍の財政難で
(CNN) 2001年9月11日の米同時多発テロを追悼する「9・11トリビュート・ミュージアム」が17日、ニューヨーク市のロウアー・マンハッタン地区にある施設を閉鎖した。あと1カ月足らずでテロ発生から21年目を迎えようとする中での閉鎖となった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の間に被った財政損失を理由に挙げている。
ミュージアムの共同創設者で最高経営責任者(CEO)のジェニファー・アダムズ氏は報道向けの発表文で、パンデミックによる売り上げの喪失を含む財政難のため、実際の施設の運営を継続するだけの資金が捻出(ねんしゅつ)できなくなったと説明した。
06年にオープンしたミュージアムは、同時多発テロに関する情報のほか「前例のない救助と復旧の活動、さらにロウアー・マンハッタンと人々の生活の再建」について伝えてきたという。ミュージアムのウェブサイトが明らかにしている。
発表によれば展示品や記録映像の大半は、ニューヨーク州オルバニーにあるニューヨーク州博物館に移される。
テロの生存者や救助活動に当たった人々のグループが主導してきた徒歩によるツアープログラムも、施設の閉鎖とともに終了する。
ただミュージアムのウェブサイト自体は今後もオンライン上で存続する。
「10年以上にわたり、トリビュート・ミュージアムは教育のための資料を教師や生徒らとオンライン上で共有してきた。世界中の教室に、当事者たちの物語を届けてきた」と、発表文にはある。今後はオンラインによって9・11の活動に携わる人たちとつながる取り組みを誇りをもって継続するとしている。
具体的にはテロで大きな影響を受けた人々のインタラクティブ動画を通じ、同時代の歴史の中で起きた事実の理解を促すとともに、それに対する市民らの並外れた反応にも焦点を当てる。
市内でよりよく知られた施設である「国立9・11記念館・博物館(9・11メモリアル・ミュージアム)」は、引き続きオープンする。