飛行機から列車への移行を模索する欧州、その現状は?
(CNN) 「フライトシェイム(飛び恥)」運動に触発され、旅行者たちは、ジェット機に代わる、より環境にやさしい移動手段を模索し始めているが、欧州では多くの人々が、欧州大陸の大規模な鉄道網が短距離の航空便に取って代わることを期待している。
実際、KLMオランダ航空などの航空会社が特定のルートで鉄道会社と協力関係を結び、さらにオーストリアやフランスなども、列車が利用可能な区間の国内線の運航を制限しようとしている。
このように欧州では航空輸送から鉄道輸送への移行が順調に進んでいるようにも見えるが、その実現は依然としてはるか遠い夢だ。それはなぜか。
象徴的な動き
フランスの措置で削減対象になるのはパリ・オルリ空港を出発する3路線のみだ/Chesnot/Getty Images
フランスは今年、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を減らすため、一部の短距離国内線の運航を禁じる新たな法律を策定すると約束した。欧州委員会も承認しているが、この措置の効果は限定的と見られている。
欧州連合(EU)は、この禁止令が適用されるには、問題の区間に代替の移動手段である高速鉄道が存在し、2都市間を2時間半未満で移動可能な場合に限られると主張している。
また、旅行者が目的地で少なくとも8時間滞在できるように早朝と夜間に十分な本数の列車があることも適用の条件となっている。
そのため、現時点ではパリ・オルリ空港とボルドー、ナント、リヨンを結ぶ3路線のみが削減の対象となる。
フランスの当初の計画では、上記3路線に加え、パリ・シャルル・ド・ゴール空港とボルドー、ナント、リヨン、レンヌを結ぶ4路線と、リヨンとマルセイユを結ぶ路線を加えた計5路線も廃止になるはずだったが、欧州委員会の裁定により、削減対象から除外された。