XB70「バルキリー」、コンコルドよりも速かった超音速機
致命的な事故
XB70プログラムの命運をさらに縮めたのが、1966年にGE主催の撮影会で起きた死亡事故だ。当時現存していた2機のバルキリーのうち、より高度な2号機が小型機「F104N」と空中衝突。小型機のパイロットとXB70のパイロット1人が死亡した。他の搭乗者は重傷を負ったものの、一命を取り留めた。
大破したバルキリーの飛行回数はわずか46回で、残る1機も83回の飛行を経て退役した。飛行時間は160時間程度にとどまった。
最後の飛行が実施されたのは69年2月4日。現在カリフォルニア州アームストロング飛行研究センターとなっている場所から、オハイオ州のライト・パターソン空軍基地まで機体が運ばれ、そこで空軍博物館のコレクションに加わった。
プログラムの可能性がフルに発揮されたわけではないかもしれない。ただ、XB70のレガシー(遺産)は今なお残っていると、ランディス氏は語る。「あらゆる大型高速機の設計はXB70の調査から恩恵を受けている。こうした研究飛行から得られたデータは、将来の航空機設計に影響を与え続けるだろう」