「インスタグラムの島」に殺到する観光客、実際は「ガラガラ」 ギリシャ

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人気の「映えスポット」のために集まった観光客ら/Duvot/Hans Lucas/AFP/Getty Images

人気の「映えスポット」のために集まった観光客ら/Duvot/Hans Lucas/AFP/Getty Images

(CNN) まばゆいばかりの白塗りの家々、青いドームの教会、青く澄んだ空と海に恵まれたギリシャのサントリーニ島には年間340万人もの観光客が訪れると報告されている。これは、サントリーニ島の人口約2万人をはるかに上回る規模だ。

ハイシーズンのピーク時には、1万7000人ものクルーズ船の乗客が島に押し寄せ、中心街のフィラや、壮大な夕日で知られる北西端の街イアなどの人気スポットに直行する。フィルターなしでも完璧に映るその景観から「インスタグラムの島」というニックネームも付けられているほどだ。

狭い石畳の通りや絶壁のバルコニーは、夕日をバックに自撮りをしようとする観光客でびっしり覆われ、地元の人々は日常生活を送ることさえままならない。しかし、夜になると人混みは途絶え、タイムズスクエアからゴーストタウンに変わると不満を漏らす人もいる。

2025年に訪問者数制限導入

サントリーニ島の市長はクルーズ船からの観光客数を1日8000人までに制限する措置を提案。2025年に導入される予定だという。

しかしサントリーニ島の問題は単に観光客が多すぎるというだけではないという人もいる。

18年間サントリーニ島に住んでいるジャンルカ・チメンティさんは「オーバーツーリズム(観光公害)は存在しない。私が目にしているのは構造の欠如だ」と話す。SNSはピーク時に撮影された島の人気スポットのひどい混雑ぶりを示す画像であふれているが、それ以外の時間の様子はまったく違うという。

チメンティさんは「本当のところ、島は空っぽだ。今はかつてないほど最悪のシーズンだ」と語った。

サントリーニ島のハイシーズンは7月と8月だが、午後9時を過ぎると街の中心部は閑散とし、レストランやホテルは満員には程遠い。クルーズ船の乗客も、船や飛行機で来る長期滞在者と同様に大切で本当に必要だが、地元住民は何かしなければならないと感じている。

20世紀半ばから後半にかけてのサントリーニ島は、住民がロバに乗って移動し、トマトやワイン用のブドウを栽培する牧歌的な土地だった。今は、古びたインフラ、特にフィラの主要港には負荷がかかっている。

長くて険しい坂道を歩かないとすると、クルーズ船の乗客が港から中心街に行くにはケーブルカーしか選択肢がない。チメンティさんは「クルーズ船が一斉にやって来ると、行列ができるのは当然のことだ」と指摘する。

しかし、人混みがなくなると「現時点でホテルの稼働率は通常シーズンのおよそ30%未満」で島の他のビジネスも同様の打撃を受けているという。

チメンティさんは「問題はソーシャルメディアが現実とはまったく異なるものを見せていることだ」と話す。今年も大量の観光客が訪れるが、人が殺到しているという評判に嫌気がさし、年間を通じて長期滞在する目的地とみなしていない人も多い。

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