地図とスマホなしでどこまで行ける? 米人気ゲーマー、日本縦断の旅に挑戦

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米国人のゲームストリーマー、ラドウィグ・アーグレンさんとユーチューバー仲間のマイケル・リーブスさんはスマホなしで日本縦断の旅に出た/@ludwig/YouTube

米国人のゲームストリーマー、ラドウィグ・アーグレンさんとユーチューバー仲間のマイケル・リーブスさんはスマホなしで日本縦断の旅に出た/@ludwig/YouTube

東京(CNN) 地図なし。スマートフォンなし。高速道路の使用なし。頼れるのは2台のバイクと少しの日本語だけ。

米国人のゲームストリーマー、ラドウィグ・アーグレンさんとユーチューバー仲間のマイケル・リーブスさんは、自らにそんなルールを課し、バイクで日本縦断の旅に出た。

世代の象徴ともいえるスマートフォンを手放し、ガイドブックさえ持たずに出発した2人。道を聞くには地元の人と関わるしかなく、交流を重ねる中で、日本人の親切さに触れる出会いが次々と生まれていった。

九州最南端の佐多岬から北海道最北端の宗谷岬まで、その距離およそ3218キロメートル。

アーグレンさんのユーチューブ番組に5日に投稿された動画によると、旅にかかった期間は2週間だった。専任チームが2人の行程を追いかけ、旅の映像をアップロードしてきた。道中、日本ならではの風景や文化、グルメなどを楽しんだ。

ユーチューブの登録者数670万人を誇る世界的なゲームストリーマーのアーグレンさんは、今回の旅が決して楽ではなかったことを認めた。バイクにまたがる直前の動画では「僕たちはあえて大変な方法を選んでいるんだ」と冗談交じりに話していた。

「これに依存していることに気付いた」とアーグレンさんは動画の中で、スマートフォンについて語った。「でも今は、Yelp(イェルプ)で一番おいしいレストランを探すことも、グーグルマップでその店までの行き方を調べることも、グーグル翻訳で何を注文するか調べることもできない」

CNNは2人が旅行中に連絡を取ろうとしたが、返答はなかった。おそらくスマートフォンの電源が入っていなかったからだろう。

2人はにぎやかな首都東京を抜け、木々に覆われた宮崎の田園風景を巡り、奈良では鹿にせんべいをあげ、静岡では桜を眺めながら富士山を背景にピクニックも楽しんだ。

河口湖から見える富士山/DoctorEgg/Moment RF/Getty Images
河口湖から見える富士山/DoctorEgg/Moment RF/Getty Images
桜の季節の奈良公園/Sanchai Loongroon/Moment RF/Getty Images
桜の季節の奈良公園/Sanchai Loongroon/Moment RF/Getty Images

旅の途中、2人はうどんからお好み焼きまで、たくさんの日本食を試した。予定より遅れている時には、コンビニで軽食を済ませたり、自動販売機でカップ麺を買ったりした。

とはいえ、この旅が万事順調だったわけではない。

地図がなかったため、2人は九州南東部の宮崎を四国と勘違いした。市内に到着して、完全に道に迷っていたことに気づく羽目になった。

また、相撲の試合を見たいと思った2人は、バイクを止めて公共交通機関で移動することにしたが、スマートフォンなしに難解なことで知られる日本の鉄道システムを理解するのに3時間を費やした。

ようやくエディオンアリーナ大阪に到着すると、英語で「チケットは売り切れ」と書かれた看板を目にすることになった。

親切な地元民からの助け

アーグレンさんは当初、日本人が言っていることを推測するのに直感を頼りにしていた。地元の人たちは、言葉の壁を乗り越えるためにできる限りのことをしてくれたという。

「ナンバー1」や「最高」を意味する「一番」は、アーグレンさんがホテルやレストランのおすすめを尋ねる時に好んで使う言葉になった。また、所要時間を尋ねたい時には「何時間」というフレーズを使った。

ある男性は、コンビニで2人にコーヒーを買ってから道順を教えてくれた。最寄りのホテルが運動場の隣であること伝えようと、野球のバットを振るしぐさで説明してくれた女性もいた。

旅の8日目、アーグレンさんはレストランの店員から「日本語上手」と言われたことを誇らしげに報告している。

かつての迷惑系インフルエンサー

アーグレンさんとリーブスさんの旅のスタイルは、かつて日本国内で物議を醸した一部の迷惑系インフルエンサーらとはまったく対照的だ。

神田外語大学の特別講師ジェフリー・ホール氏は、訪日観光客数が過去最高を記録する中で、ソーシャルメディアのインフルエンサーを含むマナーの悪い観光客に対する反発の声が日本国内で高まっていると述べた。

ホール氏によると、挑発的で周りの人に不快感を与えるコンテンツを作るために日本を訪れる人たちがいるという。こうした迷惑系ユーチューバーやインフルエンサーの存在が、外国人インフルエンサー全体のイメージを著しく傷つけていると指摘した。

その中には、「ジョニー・ソマリ」の通称で知られる米国人のラムジー・カリド・イスマエル被告もいる。イスマエル被告は2023年後半、大阪にある建設現場に不法侵入した疑いで逮捕された。また、広島と長崎への原爆投下をめぐり通勤客を侮辱する動画を投稿して批判が殺到した。

地元メディアによると、同じ年に、鉄道会社が公共交通機関で無賃乗車をしようとした人気ユーチューバー4人に対する捜査を開始した。

だが、アーグレンさんとリーブスさんの旅は、海外ではあまり知られていない日本の地域にスポットライトを当てており、ホール氏は、2人が使うシンプルな日本語は地元の人々にも好印象だろうと評価した。

アーグレンさんは人と話すときにカメラを外すなど、「迷惑な旅行客」とは異なり、日本の社会規範、例えば許可なく他人を撮影しないことなどをよく理解していると同氏は言い添えた。

「多くの米国人ストリーマーが結果を考えずにやっていることだが、日本ではプライバシーが非常に重視されている」(ホール氏)

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