シリアが一部の化学兵器移動、保管には問題なし 米国防長官
ワシントン(CNN) 内戦状態にあるシリアが保有する化学兵器の問題で、米国のパネッタ国防長官は30日までに、シリアが治安対策を理由に同兵器の一部を移動させたとの情報を入手したことを明らかにした。
米国防総省での会見で表明したもので、化学兵器の主要な保管施設で行われた移動はあくまで限定的な動きとし、シリア軍による同兵器の管理に問題はないとみられるとも指摘した。米国や地域諸国が保管施設の状況への注視を続けているとも述べた。
兵器の移動が起きた保管施設の所在地は把握していないとしながらも、シリア軍は兵器の安全管理のための措置を講じているとも語った。化学兵器の移動への懸念は今年7月、衛星画像の分析や通信傍受で最初に生まれていた。
パネッタ長官はシリア軍と戦う反体制派がこれら化学兵器の確保に迫っていたり一部の保管場所を突き止めていたりしているのかなどについては判断出来ないとも指摘した。
シリア内戦の激化と共に、化学兵器の管理や流出、使用についての懸念が欧米諸国などで高まっている。オバマ米大統領は今年8月、アサド政権に対し「超えてはいけない一線がある。兵器の移動や使用である」と警告し、無視された場合、軍事手段に訴える可能性に言及していた。
今回判明した化学兵器の移動とこの一線の関係についてオバマ政権高官は、パネッタ長官は移動は安全対策を理由にした限定的なものと判断したと説明。オバマ大統領の発言の趣旨は、大量破壊兵器の拡散と過激派組織などへの流出だったとし、限定的な移動が一線を踏み越えたとは見なしていない考えを示した。