米司法省、AP通信の通話記録をひそかに収集
(CNN) 米AP通信は13日、米司法省が2カ月にわたって同社記者やデスクの通話記録をひそかに収集していたことが分かったとして、ホルダー司法長官に抗議の書簡を送った。
APのプルーイット社長兼最高経営責任者(CEO)は書簡の中で、APの複数の支局とスタッフ数人の私用電話の通話記録が収集されていたと述べ、これは取材活動に対する「前代未聞の侵害」だと非難した。
司法省が法的な手続きを講じて通話記録を開示させていた事実は、10日になってAPに明かされたという。記録が収集されていたのは、ニューヨークやワシントンなどの支局の電話や記者個人の電話など、20回線以上に上るという。
こうした記録から、極秘の情報提供元との通話内容が発覚し、APの取材活動の全容が知られてしまう恐れがあると同氏は指摘、「政府がこうした内容を知る権利はない」と強調している。
APの報道によれば、米政府が同社の通話記録を収集した目的は分かっていない。しかし複数の政府当局者が、当局は2012年5月に発覚した米国行きの航空機に対する爆破未遂事件について調べていたと話しているという。この事件の取材にかかわった記者5人とデスク1人の記録が収集の対象に含まれていた。
AP側は、「我々は司法省によるこの行為を、憲法に定められた取材および報道の権利を著しく侵害する行為とみなす」と批判、収集した全記録の返還と複製の破棄を求めた。
この問題についてワシントンの米連邦検察局は、捜査当局は報道機関の通話記録を開示させる以前に、「別の手段を通じて情報を入手しようと相応の手を尽くした」と強調している。しかしこの情報を収集した目的は明らかにしなかった。