ローマ法王、初の訪米 大統領らが歓迎
法王は空港の貴賓室でオバマ大統領としばらく過ごした後、黒いハッチバックの車に乗り込んだ。外国要人用のリムジンよりはるかに小さい車には、華美な演出を嫌う法王の姿勢が反映されていた。
23日にはホワイトハウスでの歓迎式典と、ワシントン市内のパレードが予定されている。24日は米議会で演説した後ニューヨークへ向かい、米同時多発テロ現場跡地でミサを執り行う。この日は国連での演説も予定されている。訪米の最終日となる27日にはフィラデルフィアを訪問する。
法王の訪問に備え、米国では大統領警護隊(シークレットサービス)と連邦捜査局(FBI)、連邦、州、市レベルの捜査当局が合同で史上最大級の警戒態勢を敷いた。当局者らによれば、具体的なテロの脅威は見つかっていないという。
法王は資本主義が生み出す貧富の差に重大な懸念を示してきた。議会での演説後は議員との昼食会の代わりに、ワシントン市内の路上生活者らと食事をする。
移民の保護を訴える法王の主張は、米国内の不法移民をめぐる議論にも影響を与える可能性がある。また気候変動問題への取り組みを促す姿勢、同性同士の結婚や人工妊娠中絶を認めていないカトリック教会の立場も、それぞれ米国内の政治論争との関連が指摘される。
しかし専門家らによれば、法王は米国へのあからさまな批判を控え、同国の富には特別な責任が伴うとの考えを説く見通しだ。