よみがえるブラックパンサー、米社会に根強い影響

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「黒人の命も大事」運動は商店の襲撃などに発展

「黒人の命も大事」運動は商店の襲撃などに発展

1.言葉を武器として使う

パンサー党というと銃の携行に目が行きがちだが、言葉を使った攻撃でも大きな威力を発揮した。政治演説のあり方を変え、言葉を駆使した戦闘に変化させた。

スタンリー・ネルソン監督の手によるPBSのドキュメンタリーによると、同党のリーダーだったエルドリッジ・クリーバーは公共の場で銃を携帯することへの批判をめぐり、当時カリフォルニア州知事だったロナルド・レーガン元米大統領に応戦。「レーガンに死の決闘を挑んだ。レーガンはくずで弱虫な臆病者だからだ」「彼は銃やナイフ、野球のバットで私と戦うことができる。私はマシュマロで彼を殴り死に追いやろう」などと発言した。

また、パンサー党の党員は警察を「ブタ」と形容。子どもの悪口のようだが、創設者の一人であるヒューイ・ニュートンによると、その背後には目的があった。ニュートンは「社会学上、言葉が人にレッテルをはることを知っていた」「警察には地元で恐ろしいイメージが定着していたが、これ以外の呼び名が必要だと思った。そこで、警察を示す言葉として比較的下等な動物のブタを使った」と当時を述懐。この戦術は奏功したという。

警察と対峙(たいじ)するパンサー党が結成された背景には、現在の「黒人の命も大事」運動の場合と同様、黒人社会への警察の暴力があった。

ニュートンはカリフォルニア州の法律に抜け穴を発見。実弾を装塡(そうてん)して銃を公に携行することが可能と分かり、これを利用して黒人地区での警察の行動を監視した。市民による武器の所持を認める合衆国憲法修正第2条を強く擁護した最初の政治組織は、全米ライフル協会(NRA)ではなくパンサー党だ。

だが、パンサー党の野心は銃よりも大きかった。党員にはマルクス主義者が多く、政治革命や富の再配分を活動方針とする「10項目計画」を発表した。また、医療や食事の提供や、女性の役割を重視する動きも見せたりした。

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