オバマ政権の移民制度改革に壁、最高裁が合憲判断示さず
(CNN) オバマ米大統領が大統領権限で進めようとしていた移民政策について、米連邦最高裁は23日、判事の意見が4対4の同数で分かれたと発表した。
これにより裁判は下級審に差し戻される見込み。政策については今後も実施の差し止めが続き、オバマ大統領の任期中に日の目を見る可能性はほぼなくなった。
オバマ大統領はこの発表を受けて「誰もが認める通り、わが国の移民制度は20年以上前から破綻(はたん)している。最高裁が今日、決断を下せなかったという事実は、この制度をさらに後退させ、理想の国家像から米国をさらに遠ざけるものだ」と述べた。
オバマ大統領の移民政策は、子どもが米国籍もしくは合法的な居住者である不法移民(約430万人)については一時的に強制送還の対象から外し、合法的な就労に道を開くというもので2014年に発表された。
だがテキサス州を初めとする26州はこれに反発、大統領権限での改革は憲法違反だとする裁判を起こした。15年には連邦地裁が州側の言い分を認めて実施を差し止める決定を下し、高裁でもそれが支持された。
最高裁は保守派のアントニン・スカリア判事が2月に死去して以降、1人欠員の8人の状態が続いている。
移民政策は大統領選においても大きな争点となっている。民主党の候補指名を確実としたヒラリー・クリントン前国務長官は最高裁の判断は「受け入れがたい」と声明で述べた。一方、共和党の指名候補となるのが確実なドナルド・トランプ氏は「(裁判所は)われわれの安全を守ってくれた」とツイートした。