過激派テロリストから大学の研究者に ある米国人男性の軌跡
カリフォルニア州サンバーナディーノの銃乱射テロやパリの同時多発テロなど、過激思想に感化された犯人による攻撃の再発を防ぐために、過激派の世界の入り口と出口を両方知るモートン氏のような人材は非常に重要とされる。
モートン氏はペンシルベニア州生まれ。祖母の通うキリスト教会で聖歌隊に参加するような少年だったが、家庭内で虐待があり、青年時代には自ら過激派集団を探し求めていた。
麻薬関連の罪で2回にわたって収監され、バージニア州の刑務所でイスラム過激派の人物と出会った。その時から「洗脳」が始まったという。数年のうちに感化され、子ども時代の反動でイスラム教の秩序にひかれていった。アルカイダの仲間は「家族」のように思えた。
宣伝と勧誘の責任者になり、「生きる意味や目的、そして怒りと不満のはけ口を与えられた」という。
2008年にもう1人のメンバーとともに新たな組織を立ち上げ、テキサス州の陸軍基地で起きた銃乱射事件の犯人を称賛するコメントも出した。同年のCNNとのインタビューで「我々は不信心者を恐怖に陥れるよう指示されている」「米国は国際社会における立場を変えない限り、当然標的になる」などと話していた。
しかしこの後モロッコを訪れ、若い世俗派のイスラム教徒たちに出会って、同氏の思想に少しずつ変化が起き始めた。優秀で雄弁な現地の若者たちが心から望んでいたのは、米国にはすでにある「自由」だった。