NY地下鉄の憎悪落書き、乗客が結束して消去
ニューヨーク(CNN) 米ニューヨーク・マンハッタンで、地下鉄の車内に書きなぐられた憎悪の落書きに対して乗客が立ち上がり、乗り合わせた人たちが協力して消し去る出来事があった。
4日夜、マンハッタンで地下鉄に乗車した弁護士のグレゴリー・ロックさんは、車内の異様な雰囲気を感じたという。「私の背後でドアが閉まると、ドアの窓にあったそれが目に入った」
車両の中の至る所に、油性ペンでナチス・ドイツのかぎ十字マークやユダヤ人やイスラム教徒に対する憎悪の落書き、「ヒトラー万歳」の言葉が書きなぐられていた。
ロックさんによると、乗客たちは落ち着かない様子だったが、どうすればいいのか分からなかった。そこへ1人の男性が立ち上がり、「手指消毒剤を使えば油性ペンを落とせる。アルコールが必要だ」と提案した。マンハッタンのレストランのシェフ、ジャレド・ニードさんだった。
「向かい側にいた女性が落書きをにらんでいる私を見て、何とかできないかと言ってティッシュを手渡した。そこで消毒剤が使えるとひらめいた」。ニードさんは5日、CNNの取材に答えてそう振り返った。
「誰もがポケットやかばんをゴソゴソやり始め、手指消毒剤やティッシュを取り出した」とロックさん。乗客たちは協力して落書きを消す作業に取りかかった。「みんなただ、正しいことをしたかった」とニードさんは言い、「みんなが一緒になって行動する姿にとても勇気づけられた」とロックさんは振り返る。