米、パレスチナに代表部閉鎖を警告 PLOは反発
(CNN) 米国のトランプ政権がパレスチナ解放機構(PLO)に対し、イスラエルとの和平交渉に本気で応じなければ首都ワシントンのパレスチナ代表部を閉鎖すると警告した。これに対して、パレスチナ側からは反発の声が出ている。
米国務省当局者らが語ったところによると、ティラーソン国務長官は17日までに、PLOが国際刑事裁判所(ICC)にイスラエルの捜査を求めた場合、代表部を閉鎖できるとの米国内法が適用されると判断した。
PLOのアッバス議長は今年9月に国連総会での演説で、イスラエルの植民地活動などをICCが捜査し、同国当局者らを訴追するべきだと主張した。ティラーソン氏はこれを違反行為とみなして、代表部の存続に必要とされる事実認定の更新はできないと判断し、パレスチナ側に通知したという。
これに対してパレスチナ側は、イスラエル政権からの圧力だと反発。パレスチナの交渉責任者らは、代表部が閉鎖された場合、米政権との接触を一切断つと警告した。
イスラエルのネタニヤフ首相は「米国内法の問題だ」とする短い声明を出した。
ホワイトハウスは最近、中東和平に向けた新たな提案を準備しているとして仲介の動きをみせてきた。米国による警告の裏には、パレスチナ側に交渉への参加を促す狙いがあるとも考えられる。
米国はパレスチナを国家として承認していないが、クリントン元大統領が1994年、代表部の開設を承認。ICCでの動きを理由に閉鎖できるとの条項は2015年に追加されていた。
法律の規定によると、トランプ氏は今後90日以内に、パレスチナが「有意義な直接交渉」に尽力していると判断した場合、ティラーソン氏の判断を無効とすることもできる。