トランプ米政権、疾病対策センターに「禁止用語」指示か
トランプ米政権が疾病対策センター(CDC)に対し、来年度の予算文書で「胎児」や「多様性」、心と体の性が一致しない人を指す「トランスジェンダー」など、7つの語句を使わないよう指示したとの報道が波紋を呼んでいる。
米紙ワシントン・ポストがCDCの政策アナリストの話として伝えたところによると、アナリストらは14日、1時間半に及んだ予算文書に関する説明会の中で、使用禁止用語のリストを提示された。そこには「胎児」など3語のほか、弱者の立場を表現する「弱い」、福祉などの分野で使う「権利」、「科学に基づいた」「証拠に基づいた」という語句が挙げられていたという。
CDCで長年アナリストを務めてきたこの職員が匿名で語ったところによると、室内には「本気なのか」「冗談だろう」という空気が広がった。各分野の専門家らにはまだ伝わっていないが、「黙って従うとは思えない」という。
一方、CDCを管轄する保健福祉省の報道官はCNNの取材に対し、「我々が特定の語句を禁止したという表現は全くの誤りだ」と主張した。
しかしこの報道を受け、外部からは一斉に反発の声が相次いだ。トランスジェンダーの権利を主張する市民団体の責任者は「トランスジェンダーの人々が存在しないふりをするのは無分別で非常に危険なこと」「トランプ政権は危険な科学否定論者でいっぱいだ」と非難する声明を出した。
胎児の脳に先天性障害が起きる恐れのあるジカウイルス感染症(ジカ熱)への対策や、人種間の医療格差などをどう表記するのかという疑問も指摘されている。