増え続けるLAのホームレス人口、立ち並ぶテントが犯罪の温床に
(CNN) カリフォルニア州ロサンゼルスのホームレスサービス局はこのほど、ロサンゼルス市内のホームレス人口が前年より16%増えたと発表した。好景気や自治体が対策のために費やした多額の予算を考えると、考えられない数字だった。
ホームレスが増え続ける背景には、家賃の値上がりや手ごろな住宅の不足、施設に入ることへの抵抗感、心の健康や中毒症状に苦しむ人たちの安全対策の欠如、刑務所から出所したばかりの人たちの問題など、幾つもの複雑な要素が絡む。
ホームレスサービス局が4日に発表した統計によれば、ロサンゼルス郡の路上で生活するホームレスの数は前年比12%増の約5万9000人、ロサンゼルス市内に限ると同16%増の3万6300人だった。
ロサンゼルスでは今や、昔からホームレスが集中していた市中心部のスキッドロウ地区を越えて、歩道上や幹線道路沿い、公園、オフィス街、さらには高級住宅街にまでテントが立ち並ぶようになっている。
公衆衛生や治安上の懸念も強まる。例えば2017年12月に起きた大規模火災について消防局は、近くの路上で寝泊まりしていたホームレスが調理に使った火が出火元だったと断定した。
スキッドロウ周辺では、商店主らが市に対し、テント火災の増加に対する対策を求めている。CNNの取材に応じた警官やホームレスの人々によれば、テントの住人から家賃を取ろうとする犯罪集団による放火も発生しているという。増え続けるテントはこうした犯罪集団による人身売買や麻薬取引の温床となり、スキッドロウの路上には使い捨ての注射針が散乱する。
ホームレスの住宅確保に力を入れると表明してきたロサンゼルスのエリック・ガルセッティ市長は、ホームレスの現状を「私と私の市にとって最大の心痛」と形容した。ガルセッティ市長が2020年の大統領選出馬を断念したのは、この問題が主な原因だったと見られている。