前ウクライナ米大使監視疑惑 国務長官、沈黙破り調査表明
ワシントン(CNN) ヨバノビッチ前駐ウクライナ米大使が在任中に違法に監視されていた可能性を示す証拠が公開された問題で、ポンペオ国務長官は17日、48時間以上の沈黙を破り、この件の調査を行う方針を表明した。
ヨバノビッチ氏は昨年5月、トランプ米大統領によって駐ウクライナ大使の職を解任された。在任中、トランプ氏の顧問弁護士ルディ・ジュリアーニ氏の側近の指示で監視されていた可能性が浮上している。
これまで沈黙を保ってきたポンペオ氏は17日午前、保守系ラジオ司会者のインタビューで、「報道が流れるまで、私の記憶にある限り、この件は全く聞いたことがなかった」と説明した。
ヨバノビッチ前駐ウクライナ米大使/Drew Angerer/Getty Images North America/Getty Images
監視の可能性を示すテキストメッセージを提出したジュリアーニ氏の協力者、レブ・パーナス被告についても知らないとしている。同被告は選挙資金法違反の罪に問われ訴追を受けている。
ポンペオ氏は同日、別のインタビューで、監視が行われていた可能性を調査する方針を表明。「ウクライナで何か起きていたのか見極めるため、必要なあらゆる措置を講じていく」と述べた。
また「最終的には報道の大部分は間違いと判明するのではないかと思うが、評価と調査を確実に行うのが国務長官としての私の責務だ」とも述べた。
ヨバノビッチ氏をめぐる新たな証拠は14、15両日の夕方に公開された。14日に公開されたテキストメッセージには、トランプ氏の熱烈な支持者でコネチカット州の共和党議員候補、ロバート・ハイド氏がヨバノビッチ氏を酷評する様子や、ウクライナ首都キエフにいた同氏を監視して、その動向をパーナス被告に伝えていた可能性が示されている。
ハイド氏はパーナス被告に宛てたメッセージでヨバノビッチ氏をののしった上で、翌日には「トランプ氏があの女をいまだ解任していないのは信じがたい」と言及。別のメッセージでは「3人と話した。電話もコンピューターもオフだ。大使館の隣にいる。中ではない」などとヨバノビッチ氏の動向を被告に伝えている。
ポンペオ氏は国務省の威信を取り戻すとの目標を掲げて米外交トップの地位に就任したが、トランプ大統領の弾劾(だんがい)裁判に至る過程では比較的沈黙を保ってきた。特に批判の矢面に立たされたキャリア外交官を擁護する場面は皆無で、外交関係者の憤りと非難を招き、国務省内の士気低下を引き起こす結果となっている。