新型コロナ患者、治験薬レムデシビル投与で「急回復」 米報道
(CNN) 米医療関連メディアのSTATニュースは16日、治験薬「レムデシビル」を投与された新型コロナウイルス感染症の患者が急回復していると報じた。この臨床試験に関する会議の動画を入手したとしている。
STATが臨床試験を主導する医師の発言として報じたところによると、治験に参加した患者はいずれも重い呼吸器系の症状や発熱があったが、治療開始から1週間以内に退院することができたという。
臨床試験を主導する米シカゴ大の感染症専門家、キャスリーン・マレーン博士は動画の中で、「最も良い知らせは、患者の大半がすでに退院したことだ。死亡した患者は2人しかいない」と語っている。
CNNはマレーン氏にコメントを求めたものの、現時点で回答はない。
シカゴ大はマレーン氏の発言について、部分的な情報にすぎないと指摘。「定義上、進行中の臨床試験から得られた部分的なデータは不完全であり、調査対象となっている治療薬候補の安全性や有効性に関して結論を下すのに使うべきではない」と声明で述べた。
声明はさらに「今回のケースでは、進行中の研究に関する同僚向けの内部報告会の情報が承認なしに公開された。現時点で結論を引き出すのは時期尚早であり、科学的に不健全だ」としている。
新型コロナウイルス感染症に対する承認済みの治療法は存在しない。しかし、米国立保健研究所(NIH)はレムデシビルを含め、複数の薬や治療法の臨床試験を主導している。
レムデシビルは米製薬大手ギリアド・サイエンシズが開発した薬で、エボラ出血熱に対する試験が行われたものの芳しい結果は出なかった。ただ、複数の動物実験では、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などに対する予防や治療の効果が示されている。