米国の駐中国大使、大統領選前に辞任へ トランプ氏の要請受け
(CNN) 米国のテリー・ブランスタッド駐中国大使が、11月3日の大統領選前に辞任する見通しであることが15日までに分かった。トランプ大統領から選挙運動への協力を依頼されたことが理由のひとつとされる。複数の情報筋がCNNに明らかにした。
政権の当局者らによると、ブランスタッド氏は元々大使を1期しか務めるつもりはなく、辞任自体は予想されていた。ただ事情に詳しい関係者2人は、同氏が2~3週間前の時点で大統領選後も大使職にとどまる考えだったと指摘。トランプ氏から米国に戻り、選挙運動に協力するよう打診されてから計画を変更したという。
ブランスタッド氏は元アイオワ州知事で、駐中国大使を3年以上務めている。
現在、米国と中国の関係は各方面で緊張が高まっている。今月11日、中国政府は中国国内にいる米国の高位の外交官や職員らに詳細不明の制限を設けると発表。これに先立ち3日には、米国政府が同様の措置を中国の外交官らに向けて発動していた。
ブランスタッド氏は中国の習近平(シーチンピン)国家主席と1980年代から親交があるが、ここへきて同氏を駐中国大使の地位に据えることに対し懸念の声が高まっていた。過去数カ月の新型コロナウイルスの感染拡大を通じ、米中関係には一段の軋轢(あつれき)が生じている。結局のところブランスタッド氏の持つ個人的なつながりは両国の関係改善には寄与しなかったとみられる。
事情に詳しい関係者は、トランプ氏がブランスタッド氏を米国に呼び戻し、アイオワ州の選挙運動を支援させたい意向だと説明。両者はこの数カ月にわたり辞任について協議していたが、ブランスタッド氏は農産物の輸入が行われる夏いっぱいは大使職にとどまりたいとの希望を伝えていた。
トランプ陣営は、ブランスタッド氏の協力が得られればアイオワ、ウィスコンシン、ミズーリ、ミネソタの各州で有権者にアピールできるとみている。陣営に近い関係者は同氏について、中西部での知名度が依然として高く、中国の影響力を語るには最適の人物だと分析する。
ブランスタッド氏を呼び戻す計画がトランプ氏自身の発案だったのかどうかは明らかになっていない。