米CDC、出生率の最新データ公表 コロナ禍の影響指摘する専門家も
(CNN) 米疾病対策センター(CDC)の国立衛生統計センター(NCHS)が5日に発表したデータにより、昨年10~12月期の米国の出生率は前年同期比で6%以上減少していたことが分かった。
出生率自体は以前から低下傾向にあったが、今回のデータを通じ、新型コロナウイルスの感染拡大がそこにどのような影響を与えた可能性があるのかを検証できるとみられる。
上記の期間の中で2020年12月に生まれた赤ちゃんについては、母親が感染拡大の開始以降に身ごもったケースが大半となる。同月のみの出生率は前年比でほぼ8%の減少だった。
ウェルズリー大学の経済学教授、フィリップ・レバイン氏は「新型コロナが出生に及ぼす影響について、かなりの期間推測を行ってきた。今回のCDCによる直近のデータの発表はこれまでにない最良の機会であり、実際に何が起こったかを記録できる」と述べた。
当該のデータで実態がすべて把握できるわけではなく、5日の政府の報告でも新型コロナの影響に関する分析は一切なされなかった。それでもレバイン氏や他の専門家は、感染症が何らかの役割を果たしたことに疑いの余地はほとんどなく、これらの数値から感染拡大によって向こう数年の米国の社会がどのように形成されうるのかも、ある程度読み取れるとしている。
CDCのデータに基づき、レバイン氏は20年11月後半から12月いっぱいまでの一般出生率について、新型コロナの結果として8.6%低下したと試算。ブルッキングス研究所のシニアフェロー、メリッサ・キアニー氏と共同で執筆した論文の中で、今年は出生数が30万人減少する「出生率の激減」が起きる可能性があると予測した。予測には失業率などの経済指標のほか、人々の不安や社会状況といった要因を盛り込んだ。