全米ライフル協会の元トップ、偽の卒業式スピーチのわなにかかる 銃撃事件遺族が一計
(CNN) 米フロリダ州の高校で2018年に起きた銃乱射事件で犠牲となった生徒の両親が一計を案じ、 全米ライフル協会(NRA)の元会長を、犠牲者を象徴した空席のいす数千脚を前にスピーチをさせた。
ネット上に投稿された動画では、ラスベガスで設営された会場でスピーチするデービッド・キーン氏の姿が収められている。同氏は「ジェームズ・マディソン・アカデミー」の卒業生に対するスピーチの練習をしていると思い込んでいた。
しかし、パトリシア・オリバーさんとマヌエルさん夫妻によると、実際にはもし殺害されることがなかったならば、今年高校を卒業していた生徒たちを象徴する3044脚のいすに向かって演説していた。同校は実際には存在しない。
キーン氏は空席のいすの列に向かって、第4代米大統領にも就任したジェームズ・マディソンが起草した修正条項のうち、今年は最重要事項の一つである(武器所持の権利を定める)修正第2条に重点を置いたと力説。「修正第2条を骨抜きにしようと闘い続ける者たちがいるものの、私はあなた方の多くが、立ち上がって彼らの成功を阻止する人々であるに違いないと思っている」と話した。
さらに、「あなた方に対する私のアドバイスはごくシンプルだ。夢に従い、実現させなさい」とも述べている。
オリバー夫妻によると、キーン氏が話しかけた3044脚は銃で殺され卒業できなかった生徒の数を示しているという/change the ref
CNNは全米ライフル協会とキーン氏に対してコメントを求めたものの、回答は今のところ得られていない。
銃規制を訴える団体「チェンジ・ザ・レフ」の共同創設者であり、偽の卒業式を仕掛けたオリバー夫妻は、フロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校での銃乱射事件で息子のホアキンさんを失った。
夫妻は「失われたクラス」と題された3部構成の動画の中に先のスピーチを収録。動画には他にも、空席のいすや、生徒らによる通報電話の音声、発砲音などが含まれている。