米の新型コロナ死者数、1918年スペイン風邪を上回る
(CNN) 米国で新型コロナウイルスのために死亡した人が、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で67万5000人を超え、1918年のインフルエンザ(スペイン風邪)大流行による死者の数を上回った。
米ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生校スティーブン・キスラー氏は、「もしこれが2019年だったら、私も驚いていただろう」「しかし2020年4月か5月であれば、ここまで到達しても驚かないと言っていたはずだ」と話す。
CNNは2020年4月、新型コロナの感染拡大を防ぐため、1918年のパンデミック(世界的大流行)で得た教訓をリストアップした。
その中には、安全対策を性急に緩めない、若者や健康な人も警戒を怠らない、効果が実証されていない治療法に頼らない、といった教訓が含まれていた。
しかしキスラー氏によれば、そうした教訓は守られなかった。
「1918年には間違いなく多くの過ちを犯した。2020年の我々はそこに陥らないことを願っていたが、陥ってしまった」と同氏は言う。
ただ、米国の現在の人口は1918年当時の3倍に増えている。従って、死者の数は新型コロナの方が多いかもしれないが、人口比率では1918年のインフルエンザによる死者の方が多かったと思われる。
米疾病対策センター(CDC)によれば、1918年当時、インフルエンザのワクチンは存在していなかった。
一方、新型コロナについてはワクチンが存在する。ただし12歳以上の米国人の36%は20日の時点でまだワクチン接種を完了していない。
1918年と比べて最大のデメリットは技術の進歩に関係があるとキスラー氏は言い、「インターネットは諸刃の剣にもなる」「CDCや世界保健機関(WHO)の情報をすぐに共有できる反面、誤った情報もたちまち拡散する」と指摘した。