ハバナ症候群、外国勢力の「世界的活動」による可能性低い CIA暫定評価
だが説明できない事例もある。当局者らは他の原因に帰せられない報告例の正確な数を示していないが、作業チームはこのうち約20件あまりを中心的事例として、集中的な調査対象としている。CIAの分析官は、こうした事例が一連の出来事の背後に何が、そして誰がいるのかについて、手がかりをもたらす最大の好機を与えてくれると考えている。
ただ、こうした事例は「最も大変」なケースでもあると別のCIA当局者は指摘する。これまでのところ、誰がどうやって発症させたのか、さらにこうした事例をすべて「ハバナ症候群」と断定的に呼び得るのかについて、分析官は答えを出せていない。
海外で任務に当たる米国の情報員や当局者、外交官らは過去5年にわたり、政府内で「異常な健康事案」として知られている、一連の不明瞭な症例群に見舞われてきた。被害者は目まいや吐き気、頭痛を訴えており、一部の人々はその後外傷性の脳の損傷と診断されている。こうした事例は、最初にキューバの首都ハバナで確認され、その後中国やオーストリアなど各所で続いていた。米国内でもホワイトハウスの敷地付近で少なくとも2件、ハバナ症候群の可能性がある事例が起きた。
調査に詳しい情報筋によると、1つの仮説として、ロシアやその代理勢力が情報収集や米国関係者への嫌がらせを目的に指向性のエネルギー兵器を使ったとの説がある。その可能性は排除されていないものの、それを裏付けるものもないという。
あるCIAの当局者は「議論から外されたものは現時点で何もない。各症例についてあらゆる説明の可能性を考えている」と語った。