ロシア思想家の娘暗殺、ウクライナ政府の関係者が承認か 米当局が把握と情報筋
ワシントン(CNN) ロシアの思想家で政界にも強い影響力を持つアレクサンドル・ドゥーギン氏の娘が自動車爆弾の爆発で死亡した事件について、米諜報(ちょうほう)機関はウクライナ政府の関係者が犯行を承認していたとみている。諜報活動の概要を把握する複数の情報筋がCNNに明らかにした。
情報筋によれば、米国は当該の計画を前もって認識はしていなかった。また具体的に誰が暗殺を承認したと米国側がみているのかは依然として不明。さらにウクライナのゼレンスキー大統領が計画を認識もしくは承認していたと米諜報機関が考えているのかどうかも判然としない。
しかし米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じた米諜報機関の見方は、爆弾による暗殺が「あらかじめ計画されていた」とするロシア当局の見解の要点を裏付けるものとみられる。ロシアは暗殺の責任がウクライナ側にあるとしているが、ウクライナはこれを強く否定している。
ウクライナの国防情報当局者は最新の報道が流れた後の5日夜、CNNの取材に答え、自分たちの機関にはドゥーギン氏の娘の死について新たな情報は一切ないと述べた。
事件直後、同当局者はCNNに対し、ウクライナは暗殺と何の関係もないと主張していた。
米国家安全保障会議(NSC)、中央情報局(CIA)、国務省はコメントを控えた。
米諜報当局者らの考えでは暗殺当時、ドゥーギン氏の娘は父親の車を運転していた。そのため暗殺の実際の標的はドゥーギン氏だったと当局者らはみている。情報筋の1人が述べた。
ドゥーギン氏は超国家主義の立場をとる思想家で、ロシアによるウクライナでの戦争を熱烈に擁護している。同氏の娘でジャーナリストのダリヤ・ドゥーギナ氏が父親の車を運転していたとの内容は、ドゥーギナ氏の友人の1人がロシアの国営メディアに証言してもいる。
ドゥーギナ氏の死の数日後、ロシア当局はウクライナ人の女が遠隔操作で車両を爆破し、エストニアに逃亡したと主張していた。
ウクライナの暗殺への関与を巡る今回の情報が正確なものだとすれば、それは同国による秘密の作戦行動の思い切った拡大を示唆する。知名度の高い政界の人物を、モスクワ近郊で標的にしているということだ。