米政府債務が上限到達、財務省は特別措置を開始

（ＣＮＮ） イエレン米財務長官は１９日、連邦議会下院のマッカシー議長に、政府の債務が３１兆４０００億ドル（約４０３０兆円）の法定上限に達したため「特別措置」を開始すると書簡で伝えた。

ただ、金融市場の混乱、高齢者への社会保障支払いの一時停止、経済へのダメージ、その他の混乱を引き起こす危機的な状況にはまだ至っていない。

特別措置はそうした危機を回避するためのものだ。国が債務不履行（デフォルト）に陥る前に財務省が議会に債務上限を上げるか一時停止するための時間を与える会計上の策だ。

しかし特別措置はいつまでもは続かない。過去の例では、債務の上限を解決するのに議会に与えられた時間は数週間から数カ月だった。また、デフォルトに陥る前にどれくらいの時間を稼げるかは今春の税収額にも左右される。

イエレン氏は書簡で、特別措置を６月５日まで続けられるとの予想を示した。しかしこの期日は「かなりの不確実性」のために変わる可能性があるとも指摘し、連邦政府が支払わなければならない金融債務や今後数カ月で見込まれる税収を予測するのは困難だと強調した。その上で議会に「迅速な行動」を促した。

デフォルトを回避するために、財務長官はいくつかの種類の特別措置を講じることが議会に認められている。これまでの民主、共和いずれの政権の財務長官もそうした措置を取ってきた。

イエレン氏は今回、既存の投資の売却、公務員退職・障害者基金と郵政事業退職者医療手当基金の再投資の一時停止などを予定している。

財務省は２０２１年にも債務が法定上限に迫ったため、特別措置を取った。その際、議会は同年１２月に上限引き上げとデフォルト回避で合意に達した。