ブリンケン米国務長官、訪中を延期 中国偵察気球の飛行受け
ワシントン(CNN) ブリンケン米国務長官は3日、中国の偵察気球とみられる物体が米国上空を飛行したことを受け、近く予定していた中国訪問を延期した。米中関係の緊張は重大な新局面を迎えている。
ブリンケン氏は3日夜に北京へ出発する予定だった。記者会見でブリンケン氏は、米本土上空を飛行する高高度偵察気球が「訪問の目的を損なう状況をつくり出した」と指摘。中国外交のトップである王毅(ワンイー)・共産党政治局員には3日午前の電話で延期を伝えたという。
ブリンケン氏は記者団に「王毅氏との今日の電話では、この偵察気球が米領空内にいることは米国の主権と国際法に対する明確な侵害であり、無責任な行為で、私が予定していた訪問の直前に(中国が)このような行動を取ったことは、我々が準備を進めていた実質的協議の支障になると明確に伝えた」と明らかにした。
ブリンケン氏は3日、米国は中国の偵察気球であることを確信しているとも述べた。
一方、中国外務省は同日の声明で、この気球は主に気象研究用に使われる「民間の気球」であり、偏西風などの影響で予定していた航路から外れたと主張。中国から来た気球だと初めて認めた。
さらに「中国は引き続き米側と意思疎通を図り、不可抗力によって起きた今回の不測の事態に適切に対処する」とした。
米国防総省は、気球が今後数日にわたって米国上空にとどまると分析している。報道官が明らかにした。気球は3日にミズーリ州で目撃され、現在は米東岸に向かっている。