FBIはトランプ陣営とロシアの関係を本格捜査すべきでなかった 特別検察官が報告書
(CNN) 2016年米大統領選で当時共和党の候補者だったトランプ前大統領の陣営とロシアの間の共謀の存在を巡る米連邦捜査局(FBI)の捜査について、ジョン・ダーラム特別検察官はFBIが本格的な捜査を行うべき事案ではなかったと結論付けた。15日に公表された報告書で明らかとなった。
ダーラム氏は300ページ余りの報告書で、FBIが「クロスファイア・ハリケーン」捜査の開始にあたり「生の、分析が済んでいない、確証のない情報」を使い、当時の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の陣営に関する選挙干渉疑惑の検討で異なる基準を用いたと指摘した。
ダーラム氏はFBIの行動を厳しく批判しながらも、新たな刑事訴追や、政治的要素の絡む捜査に関するFBIの対応方針の「大規模な変更」は求めなかった。
ダーラム氏は「司法省とFBIは本報告書の一定の事柄や活動に関連して、法への厳格な忠誠という重要な責務を維持できなかった」と指摘し、「少なくとも本件に密接に関与した一定の人物」には「トランプ氏への捜査を開始しようという気質」が存在したと結論付けた。
ダーラム氏の結論は司法省監察総監が19年12月に出した調査結果とは食い違うものとなった。同調査では捜査に伴う問題が特定されたものの、捜査を開始する十分な正当化理由が存在したとの結論に至っていた。
ガーランド司法長官が15日にダーラム氏の報告書を議会に送付し、公表された。
下院司法委員会のジム・ジョーダン委員長は来週ダーラム氏を証人として呼ぶため司法省に連絡したと明らかにした。
トランプ陣営とロシアの関係を巡る捜査は19年5月、当時のトランプ政権のバー司法長官によって開始された。トランプ氏やその仲間は本件が「捜査を捜査する」ものとなり、トランプ氏を調査した人物の訴追につながると予言していた。4年間続いた捜査の結果は1件の有罪と2件の無罪となり、トランプ氏らの想定していた状況には及ばなかった。
有罪となったのは幹部職ではないFBI弁護士で、捜査令状に関する電子メール改ざんを認めた司法取引1件のみ。クリントン陣営の弁護士や、トランプ陣営とロシアの関係に関する記録の情報源となった人物に対する訴追は無罪となった。
FBIは15日、ダーラム氏の調査対象となった行動について、FBI上層部が「既に数十の是正措置を実行している」との声明を発表。「こうした改革が16年に存在していたら、本報告書で特定された間違いは回避できた」との認識を示した。
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本記事を当初「FBIはトランプ氏とロシアの関係を本格捜査すべきでなかった 特別検察官が報告書」のタイトルで公開しましたが、「FBIはトランプ陣営とロシアの関係を本格捜査すべきでなかった 特別検察官が報告書」に修正しました。