米スミソニアン博物館、有色人種の人体部位を大量収集 事務局長が謝罪
(CNN) 米スミソニアン協会のトップが、黒人や先住民など有色人種の人体部位を大量に収集していた過去を認めて謝罪した。
スミソニアン協会のロニー・バンチ事務局長は米紙ワシントン・ポストに寄せた20日の寄稿で、同協会が20世紀前半、ほとんど同意のないまま何万という人体部位のコレクションを収集していた経緯について説明した。
これに先立つワシントン・ポスト紙の調査報道では、スミソニアン自然史博物館が現在、フィリピン、ペルー、ドイツ、米国などの国で集めた少なくとも3万700の人体部位(255の脳を含む)を保有していることが明るみに出た。
同紙によると、人体部位のほとんどは1900年代初頭、人類学者のアレス・ハードリチカの指示によって収集された。ハードリチカは、白人の方が有色人種よりも優れているという、今となっては誤りが証明された説を広めようとしていた。
「忌まわしく、非人間的な仕事だった。それがスミソニアンの名の下で行われた」。バンチ事務局長は寄稿の中でそう記している。「スミソニアンの事務局長として、私はこうした過去の行為を非難し、科学の名の下に非倫理的な行為を行ったハードリチカなどの職員が生じさせた苦痛について、その行為が行われた時代を問わず、謝罪する」
03~41年、スミソニアンの自然人類学局トップだったハードリチカは、研究者や医師などの協力を得て、遺体安置所や病院、墓地などから人体部位を収集していたとされる。何十年もたってから、脳の収集品のごく一部が返還されたとワシントン・ポストは報じている。
89年には、先住民の子孫や部族からの要請に応じて遺体を返還するようスミソニアン協会に命じる連邦法が制定された。バンチ事務局長によれば、これを受けて5000人あまりの遺体が返還されたという。