米軍制服組トップ、イラン攻撃は「提言せず」 トランプ氏の主張に反論
(CNN) 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は13日、トランプ政権下で米軍によるイラン攻撃を提言したことは一度もなかったとの見解を示した。トランプ前大統領とマーク・メドウズ元首席補佐官の主張に反論した形だ。
ミリー氏はCNNとのインタビューで「一度たりともイランへの攻撃を提言したことはないと断言できる」と強調した。
今月退任予定の同氏は、トランプ政権最後の1年4カ月にわたり米軍の統合参謀本部議長を務めた。この期間、トランプ氏の任期中に起きた最も影響の大きい部類の事案で、重要な役割を果たしてきた。具体的には黒人差別に反対する2020年の「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大切だ)」の抗議行動に向けた対応や、翌年の1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件に対する行動などだ。後者については当時、トランプ氏が「ならず者」と化すのではないかとの懸念を抱いていたという。
ミリー氏はまた、機密文書を不適切に扱ったとされるトランプ氏への起訴でも重要な人物となっている。トランプ氏はこの件で、当時イランを攻撃する計画があり、ミリー氏もそれを承認していたと主張した。これについてはトランプ氏が21年7月、ニュージャージー州ベッドミンスターに所有するゴルフクラブで、メドウズ氏の伝記作家らに対して計画を明らかにする音声が残されている。
音声の中でトランプ氏はその場で示した文書に言及。「大統領であれば機密解除できたが、今はできない」と語っている。音声記録の内容は、CNNが最初に報じた。
ミリー氏はCNNとのインタビューで、トランプ氏が言及した文書については把握しておらず、目にしたこともないのでコメントできないと述べた。一方イラン攻撃に関しては、米軍に遂行する能力も計画もあることを認めた上で、いかなる詳細も説明するつもりはないとした。
この他、メドウズ氏は自身の伝記の中でベッドミンスターでの会合とイランにまつわる文書に触れ、ミリー氏がトランプ氏に対し、大統領の任期中に1回以上イランを攻撃するよう強く求めたと主張している。
メドウズ氏が記したところによれば、会合でトランプ氏はミリー氏自ら作成した4ページの報告書に言及し、本人が計画した大規模なイランへの攻撃計画がそこに盛り込まれていたことを明かした。ただ大統領時代のトランプ氏は、ミリー氏からの攻撃の要請を全て退けていたという。
ミリー氏はCNNとのインタビューで、メドウズ氏の記述には関知していないとし、イラン攻撃を提言したことはないと改めて強調した。