トランプ前大統領、ロシアのNATO侵攻促す発言 軍事費の負担めぐり
(CNN) 米国のドナルド・トランプ前大統領は10日、軍事費の拠出が基準に満たない北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に対しては、ロシアが「何でもやりたいことをやる」ように促すと発言した。もし自身が大統領に再選された場合、同盟の核心である集団的自衛権を行使しない意向を示した形だ。
トランプ氏は米サウスカロライナ州コンウェイの集会で「私が登場するまでNATOは破綻(はたん)していた」と主張。「『みんなが払わなければならない』と私が言うと、彼らは『我々が払わなくても、あなたは我々を守ってくれるか』と尋ねた。私が『絶対にない』と言うと、彼らはその答えを信じられなかった」と語った。
さらに、「ある大国の大統領の1人」から、もし自分たちが払わなくても、ロシアの侵攻を受ければ米国はその国を守ってくれるかどうか尋ねられたと述べ、トランプ氏は「いや。私はあなたを守らない」と答えたと回想。「実際のところ、私は彼らが何でもやりたいことをやるよう促す。あなたは払わなければならない」と言ったと振り返った。
この発言についてジョー・バイデン大統領は11日、トランプ氏が「NATOの同盟国を見捨てることをはっきりさせた」と述べ、「トランプはプーチンに対してさらなる戦争と暴力のゴーサインを出し、ウクライナに対する残忍な攻撃を続け、侵攻をポーランドやバルト国の人々に対して拡大させる意向を認めた。恐ろしくて危険だ」とする声明を陣営を通じて発表した。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は11日の声明で、「同盟国が互いを防衛しないという発言は、米国も含めて我々全ての安全保障を弱体化させ、米国と欧州の兵士の危険を増大させる」と指摘した。