トランプ氏、中絶巡る見解表明 各州が決めるべきと主張
(CNN) 米国のトランプ前大統領は8日、人工妊娠中絶の権利は各州が決めるべきだとの認識を示した。米国政治で最も繊細かつ議論の分かれる問題の一つについて、これまでで最も明確に自身の立場を表明した。
トランプ氏は自らの運営するソーシャルメディア、トゥルース・ソーシャルのアカウントに投稿した動画の中で人工妊娠中絶を巡る見解に言及。規制の是非は「各州が投票か立法、もしくはおそらくその両方によって決定することになる」と述べた。
続けて、妊娠何週目までの中絶を認めるかについて、多くの州の規定は異なっており、一部には他より保守的な州もあると指摘。最終的には州民の意志が決め手になると続けた。
トランプ氏は以前、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠、母体に危険がある場合を除き、妊娠15週以降の人工妊娠中絶を全米で禁止する措置を支持する意向を示唆していた。しかしここへ来て、政治的に緊張をはらむ問題を全米での禁止から州の判断に任せると決めたことで、中絶反対を掲げる主要な団体からは踏み込みが足りないと非難する声がすぐに上がった。
反中絶を訴える団体、スーザン・B・アンソニー・プロライフ・アメリカのマージョリー・ダネンフェルサー会長は、トランプ氏の立ち位置に対する深い失望を表明した。 同団体は、妊娠15週以降の全米での中絶禁止を支持することが大統領選予備選に臨む共和党候補の標準と位置づけている。
トランプ氏に近い共和党のリンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州選出)も、反対意見を表明。プロライフ(生命保護派)の活動は常に胎児の福祉を重要視しているとし、州による違いとは無関係だとの見解を強調した。
トランプ氏は、こうした批判に同日反論。「一つの争点で選挙戦に敗れ、我が国をこれ以上傷つけるわけにはいかない。この問題は常に各州が決めるべきであったし、これからはそうなるだろう!」と、トゥルース・ソーシャルに投稿した。