誰がバイデン氏の代役になるのか?
そうしたシナリオでは例えば、ハリス副大統領が最有力候補になることが考えられる。ただ、トランプ前大統領の対抗馬としてもっと効果的に選挙戦を展開できるとかねて主張していた別の候補が浮上する可能性もある。
カリフォルニア州のニューサム知事(討論会後にバイデン氏への全面支持を表明した)のような人物が党大会でハリス氏に挑戦するのだろうか。代役選びは分断に満ちた醜悪な争いになる可能性がある。猛烈な根回しの後で行われる一連の投票で誰を選ぶかは、代議員自身の判断に委ねられる。
民主党側ではこのほか、「スーパー代議員」と呼ばれるグループも考慮に入れる必要がある。スーパー代議員は党幹部や選挙で選ばれた当局者約700人で構成され、自らの地位に基づき自動的に代議員の立場を付与される。通常の党規則では、指名に影響を与える可能性がある場合は第1回投票で投票できないが、その後の投票では自由に投票できる。
党大会後に候補が撤退したらどうなるのか?
夏の党大会から11月の本選にかけての数カ月で候補が撤退するとすれば、何か大波乱が起きた場合だろう。
この可能性に対処するため、民主党と共和党はやや異なる手法を採用している。最終的に本選では副大統領候補が昇格するのだろうと想像することはできるが、必ずしもそうなるわけではない。
民主党の場合、党大会後は民主党全国委員会が党の規則に従って候補の空席を埋める権限を持つ。党の幹部は事前に民主党知事や議会指導者と協議する。
共和党側で空席が生まれた場合、共和党全国委員会が党大会を再招集するか、あるいは自ら新たな候補者を選ぶことができる。
副大統領候補が自動的に指名候補になるのか?
米議会調査局(CRS)の詳細なメモでは、現職大統領が党の指名後に職務遂行不可能になった場合、憲法修正第25条に従って副大統領が大統領に昇格すると指摘されている。ただ、誰が党の候補者になるのか決めるのは党の規則だ。
CRSによると、民主、共和両党とも副大統領候補が大統領候補に昇格するとは定めていないが、これが最も現実的なシナリオだろう。
党大会後に撤退した候補はいるのか?
CRSによると、現代では1972年の副大統領候補だったイーグルトン上院議員が党大会後、心の病で治療を受けていることが明らかになり、撤退を余儀なくされた。
民主党全国委員会は実際に会合を開き、マクガバン大統領候補が選んだ2番手の候補、サージェント・シュライバー氏を副大統領候補に承認する必要に迫られた。
次期大統領が当選後に職務遂行不可能になったら?
仮に次期大統領が死亡した場合、ここでもタイミングが重要になる。
憲法上、厳密には大統領選出の票を投じるのは州議会に集まった選挙人となる。一部の州では、選挙人に州の選挙の勝者への投票を義務付けているものの、選挙人に裁量を認めている州もある。
CRSのメモはこの問題に関する複数の議会公聴会をもとに、次期副大統領が次期大統領の役割を引き受けるのが明らかに理にかなっていると示唆するが、法律そのものの内容は曖昧(あいまい)だ。
憲法修正第20条では、次期大統領が死亡した場合、次期副大統領が大統領になるとされている。
ここでいくつか疑問が生じる。例えば、次期大統領が誕生する時期は正確にはいつなのか。選挙人が12月に集まった後なのか、それとも1月6日に招集された議会が選挙人の票を集計した後なのだろうか。
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本稿はCNNのザカリー・B・ウルフ記者とイーサン・コーエン記者による分析記事です。